サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します
新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、
私たちの仕事に大きな影響を与えています。
そこで、サイボウズが10年間のテレワークで得た経験を共有するWebサイトを
急ごしらえではありますが、開設いたしました。
ひとつの例として参考になれば幸いです。
サイボウズがテレワークを導入するまで
サイボウズでは、在宅勤務・テレワークの制度を段階的に導入してきました。
当時、社内で利用していた資料等も合わせてご紹介します。テレワーク導入を始める参考になりますと幸いです。
試験導入期(2010年8月〜2011年3月)
2010年8月:在宅勤務 試験導入開始
「上長の承認を得れば、月4回まで在宅勤務できる」というルールを3ヶ月間、全社員を対象に試験導入します。
▲当時、全社ミーティングで在宅勤務の試験導入を告知した際のスライド資料
試験導入にあたっては、「成果の判断」「勤務時間や働き方の管理」「コミュニケーションコストの増加」「情報漏洩のリスク」「モラルの低下」など、業務効率の低下が懸念として上がりました。
そのため、これらを可能な限り低下させないように試験導入が開始されました。
▲当時、全社ミーティングで評価結果を報告した際のスライド資料
当時は「在宅勤務を終了後、勤務時間と業務内容を報告する」というルールを実施していました。
しかし、「結果報告が分かりやすい資料作成しかできないのではないか」「結果が目に見えにくい"考える仕事"はあまり在宅勤務に向いてないのではないか」と、窮屈さを感じる社員もいました。
▲社内に在宅勤務の試験導入を告知した際のスライド資料
こうした環境・制度の検討もしつつ、試験導入の延長が決まります。
原則在宅期 〜 さらなるアップデート期(2011年3月〜2013年2月)
2011年3月:東日本大震災が発生、「原則的に在宅勤務」に
東日本大震災が発生。交通機関の混乱や原発事故により、出社に不安を感じる社員が続出しました。
そこで、東京オフィスでは在宅勤務の一時原則化を決定します。
▲震災当時、社長の青野が「東京オフィスの社員は全員、在宅勤務」を臨時で指示した書き込み
この頃、経理部では決算に向けた業務が行われていました。
「在宅勤務では難しい業務」と経理部のメンバーも考えていましたが、必要なシステムに自宅から安全に接続して作業できるよう、情報システム部が主導で対策。予定通りの適時開示を行うことができました。
この頃、在宅勤務制度の本運用が定着し始めることになります。
2012年8月:在宅勤務を含めた「働く場所・時間の自由化(ウルトラワーク制度)」の検討を開始
その後も、長期的に生産性を維持向上できる働き方の検討を進め、働きたい時間と場所を9分類の中から選ぶ「選択型人事制度」が始まります。
▲サイボウズの人事制度を紹介する資料から
そして、ふだん在宅勤務をする働き方ではない人も、上司に申し出れば突発的な在宅勤務ができる「ウルトラワーク制度」を試験的に導入し、本運用に向けての検討を始めます。
社内からも広く意見を募ったところ、「制度を上手く活用して生産性を上げられた」という前向きな声も挙がりました。
しかし、「制度を使っている人が、本当に仕事をしているか分かりにくくてモヤモヤする」という不安な声もあり、これらの意見も踏まえて、アップデートを重ねていきました。
▲突発的な在宅勤務が可能となる「ウルトラワーク制度」について社内で議論した際の資料
2013年2月:働く場所・時間の変更を当日に申請できるように
さらなる生産性向上を検討した結果、「働く場所・時間を一時変更する場合は、前日18時までに」としていたウルトラワーク制度のルールを変更。お子さんの熱などで当日突発的にテレワークをするケースが増えたため、当日の申請を可能としました。
これで、在宅勤務を始めとした一時的な働く場所の変更は、上長・チームでコミュニケーションをした上であれば、ほぼ自由となりました。
▲働く場所・時間の突発的な変更を当日に申請できるようにした際の、社内向けアナウンス
現在
2018年4月〜:100人100通りの働き方を選択できるように
働き方が多様になり、9分類から選ぶ制度では限界が出てきたため、100人100通りの働き方を宣言する「働き方宣言制度」が始まります。
「午前中は常に在宅勤務をします」「水曜日は在宅勤務をします」といった希望の働き方を社員に宣言してもらい、それ以外に突発的にテレワークをする場合は上長に承認してもらう形で現在は在宅勤務制度を運用しています。
ここまでで一部抜粋してご覧いただいた各スライド資料を、下記にて公開しております。社内で検討を進める際の参考にご活用いただけますと幸いです。
快適・安全なテレワークのためにサイボウズが実践しているポイント
快適・安全なテレワークを実現するために、サイボウズ社内で実践している主なポイントを絞ってご紹介します。
オンラインのオフィス環境を整える
セキュリティ対策をする
テレワーク用のガイドラインを作成・周知する
心理的安全性を確保する
テレワークに関する講演資料
テレワークが普及しない原因はどこにあって、成功させるにはなにが重要なのか? サイボウズ チームワーク総研が通常、有償で提供している講演の資料を無償公開させていただきます。
サイボウズのテレワークFAQ
テレワークを始めるために必要なシステム環境を教えてください。
テレワークでも業務を円滑に進めるためのチェックリストを作成してみました。あくまで一例ですが、参考になれば幸いです。
ハードの貸し出し
□会社の仕事はノートPCでも可能だ
□会社支給のノートPCがあり、在宅勤務ができる
□会社支給のノートPCには業務が可能な最低限のソフトウェアが入っている
□会社支給のノートPCは、カメラとマイクが使用可能だ
□会社支給のスマートフォンがある
ネットワーク環境
□会社支給のスマートフォンはテザリングが可能で、通常の業務をするのに支障がない通信容量で契約されている。もしくは社員の自宅のインターネット環境が整っている。
会議への参加
□会社での利用が承認されているWeb会議システムがある
□Web会議システムの使い方が周知されている
仕事環境
□グループウェアやチャットなど、オンラインのコミュニケーション基盤がある
追加であるとよいもの
サイボウズの場合、上記に追加して
・在宅勤務用PC(オフィスで利用するPCとは別途支給)
・在宅勤務用モニター(オフィスで利用するモニターとは別途支給)
・プライバシーフィルター(覗き見対策)
・ノイズキャンセリングヘッドフォン
・Webカメラ
を希望者全員に支給しています。
なお、社員の私物PCはあまり業務には利用されていません。私物PCをセキュリティ基準を満たした上で業務で本格的に利用するには、ICカードリーダーの接続が必要になったりと、ハードルがやや高いため、現在は会社から支給したPCが使われることが多いです。
自宅のネット環境が整っていない社員もいるのですが、サイボウズではどう対応していますか?
希望者には全員、会社からスマートフォンを支給しており、ネット環境がない社員でもテザリングで業務ができるようにしています。
自宅以外で仕事をする際は、公共のネットワークは安全性が低いこともあるため、会社支給スマートフォンでのテザリングを推奨しています。
テレワークをする際にサイボウズが普段使っているクラウドサービスを教えてください。
①社内コミュニケーション:Garoon + kintone + メールワイズ(サイボウズのグループウェア)
社内の情報はグループウェア上でなるべくオープンにし、どこにいても社内の情報が追えるようになっています。
部署によって使っているツールは異なりますが、スケジュール共有はGaroon、メール共有はメールワイズ、顧客管理や社内FAQ、各種申請、プロジェクト管理など多くの情報共有はkintoneで行なっています。オンラインとオフラインの情報格差をなるべくなくすようにしています。
※サイボウズのグループウェアは、30日間無料で利用できますので、緊急の期間限定の共有場所としてもお使いいただけます。また、学校法人、官公庁などの公共団体、NPO法人や任意団体でのご利用には、特別のライセンスもご利用いただけます。詳しくは下記をご覧ください。
②Web会議システム:Zoom
Web会議にはZoomを利用しています。画質・音質・安定性ともに高いため、社員も積極的に活用しており、最近では社内の打ち合わせだけではなく、社外の方との打ち合わせやWeb面接、オンラインセミナーにも活用しています。
③チャット:Zoom
急ぎの連絡は、Zoomのチャット機能を利用しています。
派遣社員の方や契約社員の方で、在宅勤務ができない人もいると思うのですが、今回の新型コロナウィルス感染症に対して、サイボウズではどう対応していますか?
セキュリティ教育を受けてもらった上で、テレワークに必要な機材を支給し、 派遣社員の方や契約社員の方でもテレワークを実施できるようにしています。
業務内容や職種の都合上、自宅でできる業務が十分にない場合は、業務時間で自主的な勉強をしていただくようお願いし、普段できないインプットをしていただく機会にしています。
在宅勤務をする際の申請フローや、事後報告をさせるかで悩んでいます。サイボウズではどうなっているか知りたいです。
2010年に在宅勤務制度を開始した当時、申請フローは以下の流れとなっており、在宅勤務ができる制限も月4回まで、在宅勤務終了時は成果を報告することを必須としていました。
①前日までに申請(勤務場所、勤務時間)
②上長承認
③在宅勤務実施
④在宅勤務終了後、勤務時間と業務内容(作成資料など含む)報告
⑤上司評価
しかし、「会社で働いているときに成果報告は求められないのに、なぜ在宅勤務のときだけ求められるのか」とモヤモヤする声もあり、在宅だからといった特別なルールはなくなっていきました。
試験導入中は「月4回まで」だった在宅勤務制度は、月4回を越えてもOKとなり、そのうち働き方として選択/宣言する制度になっていきました。
グループウェア上で常に情報共有をしていることもあり、現在は成果の報告は一律の方法ではなく、各チームでのやり方に任せ、当日申告で上司の了承のもとテレワークが可能になっています。
テレワークをして、業務に支障はないですか?
対面で話せるほうがスムーズな業務も一部ありますが、通常時からグループウェアを始めとしたクラウドサービス上での情報共有を中心に行うことで、テレワークをするときにも環境ができるだけ変わらないようにしています。
もちろん対面で話した方がいい場合もあるので、状況に応じて出社したり、Web会議システムを利用したりと、手段を組み合わせるようにしています。
テレワークをスムーズに進めるコツを教えてください。
様々ありますが、例えば下記の4点があります。
①心理的安全性を確保すること
メンバーの発言(書き込み)に対して「いいね!」などのリアクションや、コメントをきちんとすることを心がけたり、関連する情報を積極的にこちらからシェアしたりすることで、テレワークをしているメンバーがオンライン上で発言しやすくなり、スムーズなテレワークの実現につながります。
②テレワークを特別な人のものにしないこと
「一部の人だけOK」「理由がないとダメ」としてしまうと、利用する人も利用する必要が無い人も使いづらくなってしまいます。
③同期ツールと非同期ツールを用意すること
同じ時間を共有できるとき(=同期)に便利なテレビ会議・チャットなどのツールと、時間がずれているとき(=非同期)でも、情報を体系立てて追うことができるグループウェアなどのツールの両方を用意できると、コミュニケーションが取りやすくなります。
④監視をあまりしない
利用者自らが積極的に情報をシェアすることで相互作用が働き、強度な監視が不要になります。
サイボウズのテレワークに関するセミナーを開催します
およそ10年に渡ってテレワークを実践してきたサイボウズでは、現在はどのようにテレワークを行っているのか。職種別に、さらに具体的なノウハウをお伝えします。
多様な働き方を推進するヒントを集めた冊子を公開しています
テレワークを始めとした、多様な働き方を推進するためのヒントを集めた冊子を公開しています。
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